2020.06.8

GPSによる資材管理システムとは?│モノの見える化で無駄ゼロに

カーナビ

 カーナビやGoogleマップなどで身近な存在となっている「GPS」。自分が今どこにいるのか確認できるだけでなく、物流業界や工場などにおいては資材管理などにも活用されています。GPSを使うことで、物流の作業効率が向上するといわれていますが、なぜこうした場面でGPSが話題になっているのでしょうか? 今回は、GPSを使用することでどんな利便性が生じるかについて、事例を交えてご紹介します。

なぜGPSによる資材管理が便利なのか?

 近年、位置測位技術を活用して、業務の効率化が急ピッチで進んでいます。GPSを活用したシステムもそのうちの一つ。ここではGPSとは何か、そしてGPSを活用することでどのようなことが可能になるかをご紹介します。

まずは、GPSの仕組みについて知ろう

 自分の現在の位置を把握するGPSシステムは、カーナビやGoogleマップなどが最も身近な存在でしょう。この位置情報は、人工衛星からの電波で測定されてスマートフォンなどのデバイスに送信されます。地球上の現在位置を測定できることから「全地球測位システム」ともいわれています。

 宇宙には複数のGPS衛星が存在していて、30秒周期で電波を発信しています。この発信された電波と受信機によって距離が割り出された4つの衛星間で繰り返し算出して、位置情報を測定する仕組みになっています。ちなみに、GPS衛星は約30個あるので、1個に不具合が生じても問題が起きる心配はありません。

GPSでどのような資材管理ができるのか?

 GPS機能を効率的に使用できれば、人間だけでなく、モノの位置情報も把握できるようになります。そのため、資材を管理する倉庫や工場などでも使い方次第では有効活用できるでしょう。また、他のテクノロジーと組み合わせることで、位置情報を把握しながらのデータ分析も可能になります。では、具体的にどのように活用されているか見ていきましょう。

物流業界の稼働率向上に繋がる

 GPSは、物流業務において非常に効率的に機能します。例えば、商品を一時的に倉庫に搬入する、トラックや搬入するモノなどに活用されている例では、商品の場所をGPSで追跡することが可能です。輸送品の具体的な現在位置をリアルタイムで管理できるようになったことで、ユーザーからの問い合わせにスムーズに対応できるようになり、輸送品質やセキュリティ性に繋がります。

 また、物流業界で使用される「パレット」にもGPSを活用した事例があります。モノを運ぶ際に欠かせないパレットですが、滞留や紛失に悩まされている会社が多いとされています。この問題に対して、便利なのが「小型のタグを用いたGPS追跡システム」。パレットの位置を把握できるようになったことで滞留や紛失が減少し、稼働率も向上したとされています。

建築、工事現場の資材の位置を把握できる

 GPSの活用は、人の動きからモノの流れをデータ化して効率的に作業できるようにするだけではありません。実際に、モノ自体にGPSを受信できるシステムを取り付けることで、モノの動きを把握することもできます。このシステムは、建築業や工事現場などの資材管理に有効活用できるのです。

 大規模な建設や工事の場合、似たような資材や広い場所での資材管理が必要になります。どこになにがあるのかわからない状態では、作業も滞ってしまうでしょう。そこで、資材にGPSで位置を把握できる「ICタグ」を貼り付けます。作業者は、このICタグの位置情報をスマートフォンなどのデバイスで確認して、すぐに資材を調達することができるので、全体の作業効率の向上につながります。

運送業者の資材運搬状況の把握ができる

 動くモノの位置を把握できるGPS機能は、運送業者の資材管理にも活用されています。通常、運送業者や倉庫、生産業者などとのやり取りは物流業者を通して行われるため、手間や時間がかかります。また伝票など、事務作業がそれぞれ必要になり、紙などのコストも発生します。

 しかしGPSを導入することで、運送業者の場所を様々な業者が把握できるようになるので、わざわざ物流業者に連絡する必要がなくなります。またクラウド機能と連携させることで、書類作成の削減にも繋がり、業務効率を向上させることができるのです。

GPSを利用した資材管理システムの事例

 ここでは、実際にGPSを活用して資材管理を行っている事例をご紹介します。資材管理の効率化を図りたい方や、GPSの導入を検討中の場合は、ぜひ参考にしてみてください。

迅速で確実な施工現場に!建設会社の事例

 ある建設会社では、空港や道路など、広範囲での工事を夜間の限られた時間に行う必要がありました。昼間には多くの人が利用するため、資機材の設置や撤去を限られた時間内に迅速、確実に行わなければなりません。そこで導入されたのがICタグを用いたGPSシステムです。この資材管理システムにより、大量の資機材を手軽に把握できるようになり、迅速で安全な資材管理が可能になったといいます。

輸入車ディーラーでは無駄ゼロに

 常時数百台の車両一時保管が必要だった輸入車ディーラーでは、車両位置を管理するために、GPSシステムを導入しました。車両の位置だけでなく、空いている保管場所を把握することができ、「探す」という作業を削減することに繋がったそうです。このように、多くのモノの管理が必要な場合、GPSシステムの導入はとても効果的です。

まとめ

 人間だけでなく、モノの位置も把握することができるGPS。機能や仕組みを理解して様々なテクノロジーと組み合わせることで、資材の管理を効率的に行えるようになります。物流だけでなく、建設や工事現場でも活用されているGPSは、これからもより幅広い分野で普及していくでしょう。