2021.10.14

家庭での再生可能エネルギー利用促進のカギは「エネルギーマネジメント」にあり

太陽光と風力発電の再生エネルギー
地球温暖化対策には再生可能エネルギーの安定的な供給が必要不可欠

Society 5.0およびサステナブルな社会の実現に向けては、再生可能エネルギーの活用が不可欠です。政府はエネルギー基本計画で「ネット・エネルギー・ゼロ・ハウス(ZEH:ゼッチ」」 の普及促進に取り組み、家庭におけるエネルギー消費の抑制と再生エネルギーの利活用を加速しています。
一方で、家庭や事業所が太陽光発電等で得た余剰電力を固定価格で買い取る「FIT制度」の買取期間が満了することに伴い、今後は各家庭での発電量や売電量・消費量の管理といったエネルギーマネジメントの最適化が、再生利用可能エネルギー利用促進の鍵を握るでしょう。
どのようにエネルギーマネジメントを最適化していけばよいのでしょうか。
ACCESSが考えるソリューションを紹介します。

究極のエネルギーマネジメントを実現するZEH (ネット・エネルギー・ゼロ・ハウス)と国の政策

日本が高度経済成長期にあった1970年代初頭から2015年までの約40年間で、実質GDPは約2.6倍に拡大しました。同時にエネルギー消費も増加し、オイルショックに見舞われた1973年と2015年を比較すると、エネルギー消費は全体で約1.2倍、家庭での消費に限ると約1.9倍にも拡大しています。国をあげて省エネ対策が求められる中、経済産業省と環境省では「長期エネルギー需給見通し(エネルギーミックス)」で、「2030年度のエネルギー需要を対策前比5,030万kl(キロリットル:原油換算)程度削減」を掲げました。これは、エネルギー消費を「オイルショック後並の水準」にまで抑えるということです。

この5,030万キロリットルのうち、「家庭部門で1,160万kl」の削減が求められていて、そのための切り札のひとつと考えられているのが、ZEH(ネット・エネルギー・ゼロ・ハウス)です。ZEHとは、「快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率設備によりできる限りの省エネルギーに努め、太陽光発電等により再生可能エネルギーを創ることで、1年間で消費する住宅のエネルギー量が正味(ネット)で概ねゼロ以下となる住宅」のこと。一言でいえば「再生可能エネルギーの自家生産・自家消費」であり、究極のエネルギーマネジメントともいえるでしょう。政府は2019年に閣議決定された「エネルギー基本計画」の中で、ZEHを早期に普及させるためのロードマップを策定。「2020年までにハウスメーカーなどが新築する注文戸建住宅の半数以上で、2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現」を目指しています。

さらに、政府は2020年10月、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにすることを表明。「2050年カーボンニュートラルへの挑戦は日本の新たな成長戦略」と位置づけ、地球温暖化対策計画やエネルギー基本計画における長期戦略の見直しを加速しています。

※参考:ZEHの普及促進に向けた政策動向と令和3年度の関連予算案総務省情報通信白書

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001388304.pdf 外部リンク

家庭でのエネルギーマネジメントが再生可能エネルギーの利活用を促進

再生可能エネルギーの普及促進を目指し、ACCESSでは需要家(家庭)向けのエネルギーマネジメント・ソリューション「POWERGs™️(パワージーズ)」の提供を予定しています。これは、太陽光発電や蓄電池、電気自動車(EV)等の電力使用量や発電量、充放電量などの電力データを見える化・管理するためのソリューションであり、エネルギーマネジメントに関するさまざまなデータはクラウド上で管理されます。また、「POWERGs」はクラウドシステムへ接続するためのゲートウェイやLTE回線、およびクラウドアプリケーションなどもひとつのパッケージとして提供されます。

居住者はスマートフォンやタブレット端末、PCなどから自宅の発電量や電力使用量などのエネルギーマネジメントに関する情報を随時確認でき、最新データの取得はもちろん、1か月毎、または1年毎のデータをグラフとして可視化することも可能です。これにより、再生可能エネルギーの利用を最適化し、エネルギーマネジメントによって光熱費削減を実現できるでしょう。また、携帯電話などの通信に用いられているLTE回線に接続するため、自宅やオフィスなどへのインターネット回線工事が不要であることも大きなメリットです。

ACCESSのエネルギーマネジメント・ソリューション「POWERGs」は、2022年2月を目途に日本全国のエネルギーマネジメントサービスを販売する事業者(エネマネ事業者)を対象に商用サービスを開始する予定です。エネマネ事業者が個別にシステムを開発するとなると莫大なコストがかかりますが、「POWERGs」であればそのような問題も解決でき、低コストでの事業化が可能となるでしょう。また、エネマネ事業者はエンドユーザーのニーズに合わせて、クラウドアプリケーションやシステム上のデザイン・レイアウトなどの変更もオプションで対応できます。

さらに、「POWERGs」はエネルギーマネジメントに特化したクラウドサービスやゲートウェイ、通信回線の提供だけでなく、運用サポートまでを含めてワンストップで提供することを予定しています。ワンストップでのサービス提供によって、エネマネ事業者におけるサービスの市場投入を迅速化するとともに、開発および運用コストの削減も実現できると見込まれます。管理者はエネマネ機器の状態を専用の管理画面からリアルタイムで確認できるため、エンドユーザーからの問い合わせを受け現地へ向かう頻度も減り、エネマネ事業者の業務負荷軽減にも貢献できるでしょう。

今後もACCESSでは、ESGの一環として再生可能エネルギーの利用拡大およびエネルギーマネジメント・ソリューションの提供により、脱炭素化への取り組みを強力に推進していきます。そして、再生可能エネルギーによって温室効果ガスの排出削減とエネルギー需要の増加といった難易度の高い課題を解決しながら、Society 5.0の実現とサステナブルな社会の創造に貢献します。